台風を前に。

今回の台風は、私たち蒜山耕藝のある岡山県は直撃コース。もうすぐ四国に上陸します。そんな嵐の前の静けさの今日の畑の様子です。

今年から本格的に取り組み始めた大豆栽培。

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畑が乾いたちょうど良いタイミングで、乗用の除草機を使うことができた60aは、それなりの収穫量が見込めそうです。

こちらは、しんくろナス。切り上げ剪定で枝を垂直に伸ばす独特の仕立てです。120cmくらいの高さになってきています。続々と果実がなり、味ものってきました。これから最盛期を迎えます。

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毎年、夏から秋にかけて、何回と台風がやってくる日本列島。直撃すれば農作物の被害は大変なものとなります。台風に限らず、近年は、異常気象が多くなっているとよく聞ききます。

記憶に新しいところでは今冬の豪雪や、ゲリラ豪雨による浸水など。農業だけでなく、建物への被害や人的な被害も出ています。

災害の被害は少ないに越したことはないのですが、毎回のようにニュースになる「今回の台風の農業への被害は何百億」のような報道には、私個人としては、毎回、違和感をおぼえずにはいられません。

ものごとには、どんなことでも表裏があって、台風であれば恵みの雨であったりするわけで、自然界からの視点で考えると、人間の都合の悪いところばかり、それも経済的な視点でしか見ていない気がするのです。

強風が直撃すればもちろん農作物は傷んでしまって、その作物の収穫は望めないかもしれませんが、現代農業の被害は、農産物そのものへの被害よりも、むしろ、ビニールハウスなどの施設や設備への被害額が大きいのです。ビニールハウスは大きいものですと、一棟で何百万円以上もします。数年かけて償却するので、台風で被害を受けてしまうと、その影響は数年にも及びます。

もちろん、洪水で表土がながされてしまったり、がけ崩れで農地が埋まってしまったりした場合は、施設があろうとなかろうと甚大な被害となってしまいますが、そもそも、その洪水やがけ崩れはなぜ起こってしまうのか?

人間が針葉樹を植林したまま管理されず放置され、保水力が落ちてしまってために洪水が多くなったとの話や、ダムを作ってしまったために、以前とは違う場所で洪水が起きるようになってしまったもところもあると聞いたことがあります。人間が原因がつくってしまっていることも少なくないのではないでしょうか。何十年、何百年に一度の、本当にどうしようもない災害もあると思いますが、そうではない場合が多いのではないかと思います。

そもそもビニールハウスは、雨量や気温の違いなど気候的に本来その場所で育ちにくい作物を栽培したり、旬を外した値段が高い時期に栽培を行うためや、一年を通じて栽培を行いたい場合に使います。人間の都合を農業に持ち込んでしまったために、被害が何倍にも膨らんでしまうのです。その認識が無く、被害額の大きさばかりに注目するのは疑問を感じてしまいます。

私はビニールハウスを否定するつもりはありません。私たちも、夏野菜の育苗の為に春先にビニールハウスを使います。それは、夏野菜の収穫時期を早めたいという我々の経営上の都合を持ち込んでいるからです。そのことを認識したうえで、思わぬ強風でハウスに被害が出ることや、それ以外のデメリットも想定して、それでも、今の我々には必要だと判断して、ビニールハウスを使っています。

私自身もいろいろな矛盾を抱えながら日々、農業をやっています。なんでもかんでも自然に合わせなければならない。という訳ではないのですが、自分の都合を優先した場合には、そのツケはどこかで精算するタイミングがくるのを想定しなくてはなりません。

大きな視点で考えれば、近年の異常気象自体が、産業革命以来の、人間の経済活動が原因となっている可能性も否定できません。そのツケが異常気象となって、私たち人類に精算を迫っているとも言えるのではないでしょうか?

その精算の結果が、農業などへの被害として、私たちにわかりやすい形で現れているのではないかと私は思います。単に、「被害が大きくて大変だ。」とか、逆に「被害が少なくてよかったよかった。」ではなくて、もっと大きな視点で物事を考えなくてはいけないと思いつつ、時間とともに強まる風雨に、最盛期を迎えつつあるナスががちょっぴり心配な夜です。

桑原広樹

 

 

 

 

 

 




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