ウネウネと生きていく

2023.4.19(小さな農民の会のメールより)

 

こんばんは。ゆうじです。

塩水選と温湯処理を終えた種籾達は現在「浸漬」(もしくは「漬種」)という工程の最中にいます。

これは10度から15度の水に8日から10日ほど種籾を浸けておき、籾の水分を高め発芽を促すものです。

ただ、昨日から気温が暖かく、水温が16度以上になってしまうという緊急事態に陥っています。16度を超えると気の早い籾は出芽を始めてしまい、出芽を揃えるという大切なことができなくなってしまいます。

明日の最高気温は25度。どうしたもんでしょう。。。

さて、昨日と今日は水路や田んぼの横の溝の泥上げをやってきました。

昨日は田んぼに続くコンクリート水路の掃除。杉ちゃんともえちゃん(4月から定期的に作業に入ってくれる頼もしい仲間)と3人で午前も午後もひたすら水路の掃除。
水路の底に溜まっている泥や石よりも、水路の脇に生えてる草の根が曲者。水路を塞ぐように水路の脇から侵入してくるのです。

まずは僕が水路の両脇から侵入してくる草の根の塊を切るようにスコップを振り下ろしたり、無理な体勢で草刈機で切ります。
その後にもえちゃんが残った根や水路の壁に張り付いている根やコケを鎌で削ぎ落とします。
そして杉ちゃんが「じょれん」という道具で水路の底をさらって畔にあげていきます。

これを何百メートルとやるのですが、しんどいのなんのって。

作業をしているとわかるのですが、水路の脇がジュクジュクしていたり、地形的に不自然なところ(人工的な急斜面とか砕石が敷き詰められているような地形)は草の伸び方も早く、草の葉や根で水路を塞ぐ速度が早いのです。この地形をこれ以上いじるわけにはいかないので根気よく付き合っていかなくてはなりせん。

そして、今日は田んぼの横の溝の泥上げ。

これは田んぼに水を送る水路では無くて、田んぼの水を川に戻すための溝。
なので、どうしても後回しにされてがち。
去年はサボってしまったので今年はちゃんとやりました。

溝の底にはドロドロした泥が堆積し、水草の根がギッシリと蔓延っていました。
きっと溝を塞ぐ泥や植物達も役割を持っているとは思うのですが、田んぼや水路や畦はまだ我ら人間のために使わせて頂きたいとの思いのもと、しっかり復元させて頂きました。

溝に溜まった泥と根を鍬一本で畔に上げると、溝の水位は8センチほど下がりました。溝にある水は一気に流れ出し、それに引っ張られるように田んぼの水も動き出します。
水と空気は連動しているので、これを書いている今も彼らは休むことなく動いてくれてるでしょう。ほんとにありがたいことです。

こういう作業をしていると、人間はとかく物事を直線的に考えがちではないかと思えてきます。
すぐに結果を求めるし、ゆえに打算的になりがちです。

お米の収量を上げたいと思ったら、普通は肥料を多くします。自然栽培農家でもまず思いつくのは草をいかに抑えるかだったり、良い苗をつくることに着目します。

僕はまだ11年ほどの経験しかありませんが、その前に大切なことは今日キレイにした一本の溝の泥上げのような行為だと思うのです。

1時間ほど作業をして溝の中の水が流れ、溝の輪郭がくっきりしたのを眺めると、この田んぼや畦の人口地形が周りの自然に馴染んで見えてきます。この一体感の中に自分がいることを感じるようになって、初めて田んぼの中で育つ稲のイメージが湧いてきます。

僕も実社に身を置いている人間なので直線的に物事を考え、不安や焦りを覚えることは多々あります。
でも僕の場合、そうなると物事はうまくいかないんですね。
狙いを明確に定めるほどうまくいかない。そういう人生なのです。

昨日や今日のような作業の中で感じたこと、僕は結構大切だなーと思うのです。
きっと溝だけじゃなく、仕事や人生だってそうであるはず。

今シーズンもきっといろいろあるだろうけど、あまり焦ることなく、ウネウネとやっていきたいと思う2日間でした。

 




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