【農民メールより】「田んぼと人」

2024年6月21日

 

小さな農民の会のみなさまにお送りしているメールマガジンより。
今年はときどきこちらのブログにもアップしていこうと思います。

 

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小さな農民のみなさまへ

年初に掲げた今年のテーマは「内面性」だったかな?
もしかしたら「精神性」だったかも。

どちらにせよ「心の在り方」が作物に作用するのかしないのかを本気でトライする年に決めていました。

実は今まで作物に自分のカラーがなるべく移らないことをかなり意識していました。
この土地のカラーが作物にフルに移り込むようにと。
だって未熟者の自分のカラーが移り込んでしまったらノイズになってしまう。
蒜山のクリアさに溢れた作物の方が絶対に美味しいし、パワフルだと思っていたのです。

去年までの12年間はその意識でやってきました。

でも今年になってそれもまた不自然かもしれないと思うようになったのです。

山菜のように自生する植物ならまだしも、作物は人間と共にある存在です。
田畑を準備し、種を繋ぎ、それを蒔く。
そのいのちの循環は「土、人、タネ」の三位一体で成り立っている。
それなのに自分は変にへりくだって、重要な要素である「人」の責務から逃げているフシもあるような。
なんというかもっと責任を持つというか「共に育つ」という意識を持ちたいと思いました。

その意識は春になってからさらに強くなってきました。
去年までは作付けしていた春蒔きの野菜もほとんど辞めて稲の苗を育てるための苗代づくりに全力を投じました。(その影響で畑に野菜が無くて困っていますが。)
そして育苗管理、代掻きなどの田んぼの準備や水管理も今まで以上に丁寧にやっていると、自分の内面に変化が出てきました。
育苗中は去年まで不安を抱えて見守っていたのですが、今年は苗の姿を見るだけで嬉しくなり、一緒に育ってる感で満たされるようになりました。

田んぼにおいても草への不安は払拭できていませんが、草が生えるのは必然だし、繁茂するには理由があるということに意識が向き、どういう田んぼに仕上げていきたいのかのイメージが湧くようになりました。
それが正しいかどうかはわからないけど、自分の土に対しての想像力が豊かになったように思います。

無除草にトライしているのもこのような内面の変化があったからです。

今の田んぼ、目を凝らして見ると草の芽はちょこちょこ出ていますが、自分が恐れていたよりずっと少ないです。
稲の根は他の草の発芽や生育を抑制する力があることは学術的に認められています。
ただし品種によるその力の差は大きいようですし、どのようなプロセスで苗が育つに至ったかも重要だと思いますが。

今は稲の力が発揮されれば草が生えても大丈夫だと信じ、田んぼを見ても草には焦点を当てず、ただただ稲の姿を見てポジティブな気持ちだけを持ち続けるようにしています。

心の在り方が直接作物の生育に影響するかどうかは僕はわかりません。
意図的だったり、表面的にポジティブワードをかけることもしません。

ただ、意識を本気で向けると行動が変わってくることは間違いありません。
意識が高くあることで僅かな変化に気付けたり、閃きが生まれる土壌が生まれると思っています。

今年の田んぼは今までと様子が違うので、内面性とか精神性とか心の在り方とか、ちょっと怪しく思われてしまうかもしれないけど大切だなーと思っています。

まだまだ油断は出来ないし、何が起こるか不安もありますが、これからも楽しく稲と一緒に成長していきたいと思います。

 

高谷裕治




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