大根のまびき

蒜山耕藝の稲刈りは始まっていますが、今年は、不作とイノシシの被害が重なって、予想よりもずいぶん収穫量が少なくなっています。

あっという間に稲刈りが進んでしまい、収穫時期が遅い品種が登熟するまで、しばらく稲刈り作業は中断です。

そのスキマをぬって畑仕事を進めます。

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フランスからジャックさんが農作業のお手伝いに来てくれています。長い足をかがめて、大根の間引きをしてくれています。

 

大根やニンジンの間引き。当たり前の作業なのですが、実は、一般の農業ではほとんど、やっているところはみられません。野菜の価格がとても安いので、間引きのような手作業をやっていては、採算が取れないのです。

 

一般の栽培では間引きをしないために、ペレット種子、コート種子と呼ばれる、種の周りに特別な材料を付着させてBB弾のような丸い粒に加工したものを使います。これを使うことで、一粒一粒を正確に、決まった間隔で機械で種をまくことができます。丸い粒の成分や加工方法は企業秘密でよく分からないのですが、肥料や農薬が含まれていて、発芽率を高めたり、発芽してから虫に食べられないようにしています。

 

私たちは、自家採種の場合はもちろん、購入種だとしても、固定種や在来種ですので、裸の種です。裸の種を筋状に播いて、後から、何回かに分けて、間引きをしていきます。発芽率も高くなく、発芽後の生長や形にばらつきがあったりしますので、あらかじめ間引くのを想定して、多めに種を播いていきます。自然栽培でよいものを収穫し、種をつないでいくには必要な作業だと私たちは考えています。

 

しかし、一般栽培ですと、価格は市場で決まります。市場価格の場合、薄利多売、とにかく大面積で、効率よく作業しなくてはあっという間に赤字です。間引なんてやっている場合ではありません。価格が暴落したときには、段ボール代よりも安いといいます。そうなると収穫すればするほど赤字。収穫せずにトラクターで踏みつぶしてしまうしかありません。

 

巷ではこれからの日本の農業は営業力が必要だ。とか、マーケティングがどうだとか、農産物に何らかの付加価値をつけて輸出だ!など、いろいろいわれていますが、本当にそんなことをしなくてはいけないのでしょうか?人間が生きるのに真っ先に必要な、”食べ物”を作る仕事なのに、普通の野菜や米を、真っ当に、真面目に作るだけで、なぜ普通の収入にならないのか?そちらの方が、問題だと思います。

 

私たちは、健康ですくすくと育った普通の野菜やお米を、当たり前につくって、それを皆さんに当たり前のように毎日食べて頂くことで、暮らしていきたいと思っています。

当たり前のことが、当たり前にできる世の中にしていきたいです。

桑原広樹

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今年の野菜。
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