二月のカモシカ、その記憶。
2017.2.28
二月のカモシカから帰ってきました。
今年で3回目となるカモシカでの展示。
旧暦元旦の夜の食事会からはじまる、私たちにとってとても意味深い時間となりました。
言葉にしたくてできないような、もどかしさ。
オカズさんの料理とディレクションに参加作家でありながら感動を重ねる日々でした。
少しでも、その空気を。
搬入の日。
ひでさんが安齋さんのカップで淹れてくれた珈琲。
安齋さんの器。
凛としていて、ひとつひとつ表情の違う美しさ。
午後の草むらのような、静かだけどしっかりとした気配。
私たちの作品である食材たち。
いつもと違う晴れ舞台に、少し胸を張っているよう。
夜の器料理会でいただいた松井さんの湯豆腐。
豆乳のお汁と共に、スーっと身体に沁み込む美味しさ。
思わずため息がでて、身体がほろっとほどけました。
美しいひでさんのお寿司。
ひでさんの〆鯖は私の大好物のひとつ。
となりはカラスミと白髪葱のお寿司。
私たちの細くて小さい葱がなんと美しく立派な姿に!
自家製カラスミの美味しさに葱も負けてなかった。ものすごいコラボレーションでした。
ご一緒させていただいたお客様たちも葱の美味しさを口々に伝えてくださって、嬉しかったなぁ。
葱でお酒が呑める!と日本酒をくいっとされる姿が幸せでした。
DMにもなった水餃子さん。
具はこの土地在来の菜っ葉、土居分小菜の菜花とまついさんのお豆腐です。
皮は私たちの小麦粉でつくってくれました。
思い出しただけで至福の味わい。
中和の鹿肉のカッチャトーラ。
私たちのドライトマトとケッパーのソースが添えてありました。
自然な旨味の調和に感服。
安齋さんの器との組み合わせもすごかった。
〆の参鶏湯。
この美しさ。
鶏ともち米の美味しさが際立つ、透明感のある味わい。
お腹いっぱいのはずなのにするする食べてしまう。
そう、実はここで全てのお料理をご紹介しきれない位の品数だったんです。
それぞれが感動の完成度で、器の魅力も食材の魅力もお料理がこれでもかと伝えてくれました。
食材を用意させてもらった私たちだからわかるのですが、
今の季節の中和で、私たちの実力では本当に限られた食材しかなくて。
大きな制限の中で生み出されたお料理なんです。
きっと味わったお客様は全くそんなことは思わなかっただろうなぁと思います。
自由に湧き出たような印象を受ける、素晴らしいお料理でした。
その苦労と労力に、本当に本当にありがとう。
そして忘れられないのが、この山栗のタルト。
中和のオカズさんの森で、時間をかけて拾われた小さな小さな山栗がこんなに美しいお菓子に生まれ変わっていました。
山栗はとても貴重なので、味わえた私たちは本当にラッキーです。
口に入れたらみなさん「!!!」という反応でした。私も大感動。
夢のような、お味でした。
旧正月が明け、一週間と少し。
今年はなるべくたくさんこのHPで文を綴っていきたいと思っています。
なんとなくSNSに疲れてしまったという本音もありつつ。(SNSでも引き続き告知はしていきます。)
写真と一文だけであっても、こちらで記憶を積み重ねていきたいと考えています。