自然の恵みの中で暮らしている

今年のお米の一般販売中止の記事に対して、たくさんの方から励ましのご連絡を頂き本当にありがとうございました。

今年の失敗を来年の糧にしよう!と前向きになろうとはしていたもののショックや今後の不安は感じていました。
そんななか皆様からの電話やメールで暖かい声を頂き本当に救われました。
下を向きながら考え込んでフラフラと歩いていたのが顔を上げしっかりと前を向いてまっすぐ足を踏み出していけそうな状態に戻れました。

この場を借りて、改めて感謝の気持ちを述べさせて頂きたいと思います。

本当にありがとうございました。

 

さて、稲作担当の自分として今年の米づくりについて振り返りをしていけたらと思います。

収量が低くなった要因はいくつかありますが、一番影響が大きかったのは「猪」です。

 

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思い返せば今年は猪の年でした。
初夏の小麦も3反歩(約900坪)全滅し、大麦、大豆の新芽も食べられ、サツマイモもほとんど全滅。
その時に気付いておけば良かったのですが、稲もだいぶ食べられてしまいました。

去年は田んぼの中を歩いた形跡があったものの、ほとんど被害がなかったため、それで油断をしてしまいました。

今年もちょっと入っているな位に思っていたのですが、去年とは違って穂をだいぶ食べていました。
気付いた時には時すでに遅しで、「猪が一度田に入るとなんとしてでも入ってくる」という地元の方の言葉どおり、柵を補強しても連日連夜入られてしましました。

稲の生育としては収量が落ちるような感じでは無かったので、猪の影響がどれだけあるのか収穫してみないとわからず、皆様への報告が遅くなってしまいました。

 

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結果的には想像以上の影響があって悲しさや悔しさもありましたが、でもこのことでようやく自然の中で食べものをつくるということについて深く考えることができました。

田んぼを遠くから眺めてみると、山を切り開いて水が溜まるように地面を固めて平らにして田んぼをつくっています。
自然を壊して田んぼをつくり、そこで稲を育てる。
田んぼ自体は地主さんからお借りしていますが、それ以前に自然の一部をお借りして自分たちの食べものをつくり生かしてもらっている。
そういう意識と感謝が頭の中にはあったけれど、ようやく心からそう思える自分になれたような気がしています。。

今年のお米は山の神様に食べてもらったと思い、来年からも誠心誠意田んぼや自然と向き合っていきたいと思います。

 

山間部での農業は平地と比べ不利なことが多いかもしれません。

水はたしかにキレイではあるけれど、ほ場は小さく、その分草刈りの労力も大変なものです。
だからといって農産物の価格として必ずしも高いわけでもなく、農業の経営という側面から見たらとてもかないません。

それでもここでやっていきたいと思えるのは「暮らし」という側面から見たらとても恵まれているんだなと思えるから。

猪に食べられても草刈りや水路管理が大変でも「自然の恵みの中で暮らしている」という実感はたまりません。
いくらお金を出しても買えないし、自分で経験しなければわからなくて、一度知ってしまうと止められないものでもあります。

 

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器&写真:堀仁憲さん

 

そう思える大好きな蒜山の自然の中で「食べたいものをつくる」ということを改めて続けていきたいと、強く思っています。

 

 

 

高谷裕治

 

 

 




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