また逢う日まで

 

霧雨にむせぶ蒜山。もう6月になろうという時期なのですが、ストーブが恋しいくらい肌寒い朝です。
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私たちの自宅のまわり、小高い山々に囲まれた、こじんまりとした集落です。大麦が登熟しはじめています。あと2週間くらいで収穫でしょうか。

以前のブログでご報告した通り、私、桑原広樹は5月末をもって、蒜山を離れることにいたしました。

私は幼い3人の子供がいるのですが、いろいろな経緯があって、3年前から遠く離れて暮らしています。

なんとか、家族で暮らしたいと思って、ここ一年いろいろな形を模索してきました。最終的には、私が、蒜山を離れ、別の場所で生活の場を作っていこうという結論になりました。

5年前に移住するまで何のご縁もなかった蒜山、中和地区。地域の方々には、集落の一員として暖かく迎えてくださりました。農地や、農機、ビニールハウスを無償でかしてくださったり、初年度は食べるものがないだろうと、お米やお魚、野菜をたくさんいただきました。本当に、涙がでるほどうれしかったです。

真庭市や岡山県の行政の方々には、自然栽培というまだまだ特殊な農法であったにも関わらず、地域の新しい農業の担い手として最大限、支援いただけるよう柔軟に対応していただいて、農業生産法人としての蒜山耕藝をスムーズに立ち上げることができました。

 そして、何よりも、蒜山耕藝の理念、思いに共感してくださった全国のみなさまのお力添えのおかげをもちまして、今日まで、蒜山耕藝を続けることができました。ご縁をいただいたみなさま。本当に感謝しております。ありがとうございました。

 蒜山耕藝とその食卓「くど」は、高谷夫妻によって、これまで以上に、さらに洗練され進化し続けていってくれると思います。今後とも変わらぬご支援をよろしくお願いします。

 私が、蒜山耕藝でやりたかったこと。それは、自分がやりたいと思ったことを、素直に、まっすぐ取り組んでみること。それがその人にとって一番幸せなことであるし、それで生きていくことは、きっとできるんだってことを証明したいということでした。

 みんな誰でも、「大事なこと」は知っています。心や体の健康。家族の幸せ。世界の平和。などなど。

 でも、実際は「大事なこと」は「理想論」として脇に置いてしまって「現実はそうはいかない」と言って、時間に追われ、お金に使われてしまう人生を送ってしまう人も少なくないと思います。

 そういう自分たちの日々の矛盾が巡り巡って、社会を、世界をおかしくしてしまっている。そして、ますます「大事なこと」から遠ざかっている。

 「大事なこと」は実現不可能な「理想論」じゃなくて、その気さえあれば、今日、この瞬間から実現できる。って私は信じています。

 みんながしたいことができる世の中であるべきだし、そうできると本気で信じています。私は、それを蒜山耕藝という場で証明したいって思ってましたし、その場を通じて、みんなが、自分の生き方を見つめるきっかけになってくれたら、こんな嬉しいことはありません。

 私は、3年前、一家離散の状況になってしまいました。それは「大事なこと」にちゃんと向き合っていなかった自分の責任だったと思います。その報いであると。

 自然と調和する。自然を尊重する。という言葉だけを表面的に模倣した薄っぺらい人間。虚栄心、顕示欲、自己愛にまみれた矛盾だらけの人間。

 そこから、髙谷夫妻に助けられて、一緒に蒜山耕藝の一員に加えてもらって、蒜山の豊かな自然から、そして皆さんから、いろいろ教えてもらいました。今でも、時々やらかしちゃうんですけど、でも、ちょっとは人の心の痛みが分かる人間になれたのかな?と思います。

 蒜山耕藝の公式ブログで、個人的なことを長々と書いてしまいました。まとまらなかったのですが、これで私からのご挨拶とさせていただきます。

 今後につきましては、ほとんど、何も決まってません。ちょっと、時間をかけて考えたいなと思っています。そうしているうちに、いろいろ方向性がみえてくるんじゃないかと思っています。いずれにしましても、農や食に関することは、私のライフワークと思っております。場所や仕事が変わっても、これまで通り、自然と調和した暮らし方、心のありかたを軸とした生活を作っていきたいです。

 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に。。

 蒜山耕藝の名付け親、そしてブランディング全般をお願いしている Desing Studio SYUの前崎さん

 いつも蒜山耕藝を、かげひなたなく応援してくれているオカズデザインの吉岡夫妻、堀、坂野夫妻、viortoの今枝ゆかりさん、夜長茶廊の石亀夫妻、胡麻のアトリエ丸瀬君、豆腐職人のまついさん。

 蒜山耕藝の食卓「くど」の空間提案、施工アドバイス、そして、くどの顔である大きなダイニングテーブルとウィンザーチェアーを制作いただいた木工房ようびの大島夫妻

 いつも自分に厳しく、ストイックで研究熱心な裕治さんと、いつも綺麗で優しい心の絵里香さんの髙谷夫妻。ひとりぼっちになってしまった私を、家族と同じように、毎日一緒に働いて、食事をして、暮らしてくれました。そして、今回のことも、気持ちよく送り出してくれました。本当にありがとう。感謝しています。

 そして、蒜山耕藝のつくった作物を食べてくださったみなさま、くどを訪れてくださった全てのみなさま、本当にありがとうございました!!

 またの機会にみなさまと、ご縁がいただけることを楽しみにしております。

 桑原広樹

 

 

 




喜びと感謝と悔しさを。
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