大地の再生講座@蒜山 report 3 森に入る

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講座1日目の午後、いよいよ森に入りました。

今回入らせてもらった森はくどから1キロちょっと離れた山の中腹。
くどの水脈の上流にあたるところでもあります。

何十年も前は牛の採草地にも使われていたこの山は松と常緑樹と落葉樹が混在している雑木林。
6年ほど前から下草を刈ったり、薪のために伐採したり、少しづつ人の手が入っています。

広い敷地の中から矢野さんが選んだ場所はぽかんと広場のように開けた場所でした。
5年前に薪を取るためにまとめて生えている木を切ったところです。

 

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矢野さんは重機で入っていくと、木を掘るのではなく、くどの敷地を掘ったように水脈を掘り出しました。
矢野さんが掘ったところに他の人が周りに落ちている枝や枯葉を入れていきます。
午前中に行った作業と同じことなので、スコップで掘る人、材料を集まる人、入れる人、とてもスムーズに作業が進んでいきます。

しばらくして、矢野さんから解説がありました。

この場所は少し前にまとめて木が切られています。
これまでこの水脈を維持していた木が切られることにより、この場所の水脈の機能が停止してしまった。
大地の中の空気や水の流れが滞ることによって、大地の中の状態を鏡で映し出すような地上の表情をしている。
生えている草の感じも放棄地のように苦しそうにしていて、地下も地上も空気の流れが悪くなっている。

人間の都合で山に入りそこの資源を利用する時に、その利用方法によって必要な処置がある。
ただ持ち出すだけでなく、その場所の機能を落とさないように手を入れてあげなければならない。
そうやって人が山に入ることで、究極の里山が出来上がる。

うろ覚えなので正確ではありませんが、そんな内容のことをおっしゃっていました。

 

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その後、重機で掘る木の根の周りの土をほぐし、杜の園芸スタッフや参加されていた造園業の方を中心に根鉢を緑化テープで巻いていきます。

木を掘り、振り返っては水脈を掘り、黙々と作業が進みます。

驚いたのは矢野さんが考えている素振りを一切見せないことです
実はこの講座の前日に、10分くらいだったと思いますが矢野さんと下見をしました。
でもこの場所もちょっと立ち止まったくらいでもっと奥に歩いていったりもしたのです。
今思えば、いい木がある所や作業しやすい場所を探していたのではなく、人の手が入った方がいいところ、
つまりは空気と水の流れが詰まっている所を矢野さんは講座の場所にしようと見ていたのだと思います。

だからこそ、重機はアタッチメントはバケットという大きなシャベルのような物ではなく(おそらく木を掘るだけならこちらの方が楽)、油圧ブレーカーのままで来たのでしょう。
そして掘る前に水脈を掘り出したのも納得がいきます。

動きを止めることなく、木を眺めどれにしようか悩むことなく、水が流れるように滞りなく重機を動かします。
重機は使い方を見ていても、ほんとに自然を信頼し、愛している人なんだと思えます。

矢野さんと山に入るということは自分は初めての経験でした。
どんなことをするんだろうと思っていたのですが、何度も書きますが基本は水脈でした。
山に入る時も出る時も水脈を傷めないように配慮し、木を選ぶ時も、掘り上げた後に水脈の機能を低下させないよう、むしろ良くなるようにしたいという心遣いが全てに行き渡っていました。

細かい技術的なことも矢野さんから説明がありましたが、山に入り、その作業を一緒にすることで自然との付き合い方、礼儀作法のようなものを心に植えつけられたようでした。

 

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結局、山での作業は3時間くらいだったでしょうか。
水脈を整備しながら20本くらいの木を掘り、くどまで運びました。
根鉢を巻くのにも人手や時間がかかる上、少し大きい木だと軽トラまで運ぶのも大変ですが結の作業はほんとににすごいです。

今回山で作業をしながら何人かの方にこの山の土は素晴らしいと言われました。
すごく豊かだと。
自分も山にしっかり入ることは初めてだったので、恵まれた環境に感謝する反面、木を掘らせてもらった場所の状態や林道を中心にだいぶ傷みが進んでいることにも気付かせてもらえました。
(また道のこともいずれ書きたいと思います)

 

つづく




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