くどという存在

2020年9月7日

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くどを休んで早5ヶ月。
2014年12月にオープンしてからずっとくどありきの生活だったので、良くも悪くもその存在の大きさを実感しています。

新米の収穫以降に再開を考えているけれど、どういう形でくどを開いていったら良いか。。。
なので、思考を変えてこれまでのことを振り返ってみようと思います。

 

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2011年の震災を経て、豊かな自然や美味しい空気や水の有難さを痛感していた自分にとって、ここ中和は希望に溢れた土地でした。
ずっとここで暮らし、農業をしていきたいと思ったけどそのためには地域がある程度機能してなければなりません。

そのための何かのきっかけになればと思いを込めて「くど」を作りました。

くどに来て、景色を見ながらこの土地の風土が生んだ恵みを食べてもらう。
お客さんの1000人に1人でもこの土地に住みたいと思ってくれたら何かが変わるかもしれない。

その思いが通じたのか、当時の自分たちからは全く想像できないほどいろんな人がこの土地に移り住んでくれました。

そしてコロナのことがあり休業。
でも結果的には今の自分たちには必要な時間を与えてくれたと思っています。

農家レストランという業態。
自分たちが育てた食材を使って食事を提供するというのは提供する方も食べる方にも魅力的だし、これほどシンプルな形はなかなかありません。
ただ、実際にやってみると想像以上に大変。もちろんやりがいや得られるものも大きいのだけど。

ここでくどをやって良かったこと、大変だったことを思いつくままに挙げてみます。

 

良かったこと

●くどを通してたくさんのご縁を頂いた。
移住に繋がっただけでなく、ほんとにたくさんの人がくどを目指して来てくれました。
農業仲間が出来たり、今までお米や加工品を送っていた方に実際に顔を合わせることもできました。
自分が全く知らない分野の方と知り合うことで知見が広がり、人口密度が何百倍の都会に住んでいる時よりも山の上にいる今の方が人との出会いが多いのは驚きでした。

●やりがいと満足感
目の前で自分たちの食材を食べてもらうことは緊張するけれど美味しいと喜んでもらえた時の喜びは言葉で言い表せません。

●気分の切り替えとメリハリ
農作業だけだと曜日感覚が無くなり、日常が単調になりがちです。
くどを営業することで強制的に気持ちが切り替わり、お客さんに喜んでもらえることで農作業へのモチベーションもあがります。

●売上への貢献
これは当初ほとんど期待していかったけれど、蒜山耕藝全体の売上に対して大きな割合を占めるようになりました。
この売上が無ければ農機具や倉庫などの大きな設備投資はできなかったです。

 

大変だったこと

●精神的、身体的負担
仕込みに1日、営業2日で1週間のうち3日はくどに時間を費やすことになります。
山間地で7ヘクタール弱の農地を週4日で管理していくのはかなり困難。その上発送作業もあります。
精神的にもメニュー構成を考えたり、料理を提供するという緊張感もあるため負担がかかります。
農作業というのは適期にするというのがとても大切ですが、くどの営業日と重なって悶々とすることも正直多かったです。

●食材の確保
特に野菜の確保が大変。当然ながらタネを蒔いてから収穫までには長い時間がかかります。
数ヶ月先を見て、どんな野菜をどれだけつくろうと考えます。
保存ができる野菜、収穫後すぐに食べなければならない野菜。
もし上手く育たなかったら?全滅したらどうする?
実際に大根や人参が全滅した年もあり、その時はメニューを構成するのが大変でした。
なのですごくプレッシャーがかかっていたけれど、くどが無かったらここまで真剣に作付けを考えることもしていなかったので良い面もあります。

 

まだまだありそうだけどすぐに思いつくのはこんなところだろうか。

要は、やりがいや得られるものも大きいけど色々大変だった!ということ。

これまでの農作物生産、飲食店の経営、加工品の販売という営業形態は今の自分たちのキャパを超えていることがコロナ休業でやっとわかったので、さてこれからどうしようか?というのが今の気持ち。

この三本柱という大枠は変わらないけれど、その中身をどうしていくか。
設備投資や住まいの改修などを考えていたので、売上を上げたいという気持ちも正直あったのだけどその気持ちがちょっと下火になっている。
のんびりでいいや、と。

目先を足元に変えるだけで新たな気づきもあるだろうし、心に緩みがあった方が米づくりも上手くなるような気がするんです。

そうそうお米のこと。

もうそろそろ収穫が始まりそうです。
一番手はヒメノモチから。今年は去年よりもたくさん蒜山◯餅が作れそうです!

 

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高谷裕治

 

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2020年 蒜山○餅の販売が始まります!
今年の畑あれこれ。くどのお知らせも。
【農民メールより】「田んぼと人」
サンデールームさん。