空気の脈と水の脈 その2

 

矢野さんの講義では矢野さんが今まで関わった事例を紹介してくれました。(前回のブログはこちら →  )

中でも一番驚いたのは沖縄の事例。

 

簡単に紹介します。

 

山を開墾して畑にし、野菜をつくりました。

はじめ数年は良い作物が穫れていましたが数年経つとあまり出来なくなってしまいます。

周りの木々の枝も暴れだし、かつて美しかった山頂の様子まで以前とは様子が変わってしまいました。

そこでいろいろ調べた結果、山の斜面と畑の境目に入っていたコンクリート側溝が空気と水の脈を滞らせていると考えました。

コンクリート側溝を外し、畑の周りや畝の間にも溝を掘ることで畑の作物も良くなり、周りの森や山の木々まで以前の美しさを取りもどしていった。

 

そういう事例でした。

 

本当に驚きました。

自然の一部に手が入ることは自分が思っている以上に周囲に影響を与えるものだと。

自分たち人間が現代にこうして生きていることがどれほどの影響を与えているのか。

田んぼや畑一枚つくることでも規模の大きさはあれど同じこと。

 

ただ、同時に希望も湧いてきました。

 

昨年イノシシにたくさんお米を食べられて、農地をつくることによって自然破壊をしているという罪悪感みたいなものを感じることがあったのです。

だから農地は自然から借りているという意識と感謝を持ち、借りている以上責任を持って田んぼの中も外もキレイに管理する。

イノシシの本来の食べ物ではないお米などの穀物をたくさん食べることでイノシシが病気になったら申し訳ないと半分本気で考え、そのためにはできる範囲で山に入って森づくりもしよう。

でも何か足りない、と。

そう思っていました。

 

そこで矢野さんの事例を聞いて、自分が思っている以上に自然に対してできることはできることってあるんじゃないか。

少なくても罪悪感みたいな後ろめたさみたいなものは消えました。

もちろん一朝一夕に結果が出るものではないけれど、良い作物をつくることが周囲の自然に対しても良い影響を与える可能性があるなんて百姓冥利に尽きます。

 

たしかに現代社会は自然にとって良い存在とは言えません。

ただ、それらすべてを悪と捉えるだけでなく、存在の意味と向き合い、前に進む原動力にしていく考えも必要だと思います。

マイナスに向けることがあってもプラスに戻す力が人間にはある。

大自然と人間との調和によってこそ開かれるステージがある。

そう信じています。

 

 

話は変わりますが矢野さんはこんなこともおっしゃっていました。

 

地盤、地形、土壌といった大地の環境

大気、空気、風、水などの気象環境

そして微生物や植物、動物などの生物環境

 

それぞれが違う働きを絶え間なく続け、

お互いが支え合う相乗作用の中でその土地の自然が保全されていると。

 

 

人間は地球の存在さえ脅かすような強い力を持つ存在になりました。

大地がしっかりと呼吸することができるように、

僕は僕ができること、

田圃や畑の日々の食べたいものをつくりながら自然と対話していきたいと思います。

 

大きな変化ではなく、小さな変化が全体に広がるように。

諦めず、ひたむき紐と解いていこうと思います。

 

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高谷裕治

 

 

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