種のはなし

2020年11月19日

 

11月17日、衆院農林水産委員会は種苗法改正案を自民、公明、維新、国民民主の各党の賛成多数で可決されました。
今日19日にも衆院本会議でも可決され参院に送付されることになると思われます。

 

種苗法改正について半年くらい前にかなりの騒ぎになり一旦凍結状態となっていました。
自分も当時はいろんな情報を目にしたり、耳にし、自分としての考えを明確にしようと試みました。
しかし、これは本当に複雑な問題で自分の中で論理立てて言葉にできぬままでいました。

 

その後改正案の提出を見送ることになったと同時に農繁期に突入となり、種苗法関連の意識が希薄になっていました。
そして今になって飛び込んできたのが種苗法改正案が可決されるだろうとニュース。



種苗法改正について正直に言うと、今だに僕は大した意見も述べれられない程度の理解です。
というのも、どんなに優れた法律でも、どんな悪法でも、それをどう運用するかに関わってくるからだと思うので結局のところ人の良心に頼るしかないのか、ということに行き着いてしまいます。

 

この国内法の改正だけに留まらず、世界的な動きを見ているとタネの支配ということが見え隠れするどころか目立つようになってきました。
植物だけでなく人間も含めた生物全体における「種」においてもコントロール、支配の流れが及んできたように思うのは考え過ぎでしょうか?

 



さて、前置きが長くなりましたが、私たちが住む地域の唯一と言える土着品種である「土居分小菜」が寒さを増すとともに大きさ、旨味、甘さともに炸裂してきました。
私がタネを購入した他のアブラナ科の一部が虫食いでレース状になる横で荒々しいほどに野生的健全さを持って育っています。


この姿を見て、食べる度に土地の風土とタネが調和することの大切さを実感するのです。
種苗法に関わらず、タネや種について共に考えていくためにはこういった身を持っての実感が無ければ難しいと思うほどです。

 

だからといってそれは現実的では無いことも承知しています。
そういった作物をたくさん栽培してこなかったのも自分なのですから。
でも諦めてはいけないと畑の土居分小菜が訴えかけてくるようにも思うです。
こぼれ種、すなわち人によって播種されていない、言い方は悪いけどこちらの意識には無かった種も芽を出して根を張れば精一杯そのいのちを謳歌している姿に心を打たれます。

 

しつこいようですが種苗法改正だけでなく種について言えることは僕にはありません。
でもできることはあります。
諦めずにタネを継ぎ、それを多くの人に食べてもらうことです。
できることから始めていきたいと思います。

 

高谷裕治

 

 

 

 

 

 

 




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